第4回「飛行船文学賞」発表 

飛行船文学賞 該当作なし

奨励賞 (賞金二万円)  

「セロファンテープ」 滝沢壽男 (板野郡松茂町)     

     「チャボの黄昏」   大石征也 (名西郡石井町)

選評

 今回の応募は九編に留まった。周知できていないのか、賞に魅力がないのか反省しきりではあるが、なかなか「攻め」に出られない。ひたすら「待ち」の姿勢を保つしかない。しかし応募作品はどれも佳品ばかりで、それぞれ読み応えがあった。まずは、四十枚を書くという大きな作業に精を出して下さった応募者の方に、心よりお礼を申し上げたい。誰にでもできることではないことに挑んで下さった努力に報えることができず、申し訳なく思う次第である。

 候補作を三編にしぼり会員で読んだが、甲乙付け難しということで意見が割れた。特に突出した作品がなく、きらりと光って訴えてくるものがなく、三編ともにうまく無難に書けていて、どれか一編に決めるのは難しいということで、今回も文学賞は残念ながら見送りとなり、二編に奨励賞を出すこととなった。

滝沢壽男「セロファンテープ」

 現代の世相を代表するような若者の生活が、ていねいな描写で浮き彫りにされている。登場する人物像もよく描けている。四十枚の短編としての構成もよくうまくまとまっている。文章力、描写力がよく、一気に読ませ、しんみりとした情感ある終り方は感動を呼ぶ。しかし、登場人物が善人ばかりで、事件がありながらはらはらどきどきがない。深刻さがないのが狙いかもしれないが、うまく解決していくことで、作品全体が甘く弱くなっているのは否めない。

大石征也「チャボの黄昏」

 なかなか達者な書き手である。しっかりした文体で筆力を感じる。謎解きは少々くどく冗長に過ぎる感もあるが、終り方はよい。抒情的なタイトルが果たして生きているかどうか。四十枚の短編の構成を、叙述、日記、手紙と分けた意図は、果たして成功だったかどうかなど疑問が残る。読後の感動に乏しい。と、いくつか欠点が話題になったが、作者のひたむきで冒険的ともいえる書き方に敬意を表し、今後の成長を期待したい。

 以上のようなことで、二編を選ばせて貰いました。

作品としては未完の部分があるのは当然ですが、これから大いに書き、大きく育つ土台になれれば嬉しいことです。お二人の将来を期待して、第四回「飛行船文学賞」の選評とします。 

 なお、選外に留まった作品の中にも注目したいものが多くありました。、次回にも是非挑戦して下さることを切に願っています。     


 (文責 竹内)

 

 

第五回飛行船文学賞公募は、2018年11月発行 24号の予定

 

 

 

 

 

 

 

第四回飛行船文学賞授賞の会

奨励賞  大石征也さん

奨励賞  滝沢 壽男さん

 2016年11月26日 阿波観光ホテル