編集後記   創刊号

 「徳島作家」が終刊号を出してから一年余。年一作は掲載してもらおうと頑張っていたのだが、突然に近い形で発表の場を失ってしまった。発表の場がなければ作品を書く気にならない。作品を書き溜めて何処かへ応募し世に出ようなどという色気は、とうに失せている。かといってこのまま何もせずに終わるのかと思えばまことに淋しい。そこでふっと思いついた。自分で出せばいいのだ。自分が雑誌を作って自分の作品を思う存分掲載する個人誌でも作ってみよう。いや待てよ。竹内菊世の個人誌なんぞ誰が読むのか。世間に読ませるぞと問う程の傑作が書ける自信は、残念だが、まずない。では、「仲間を募ってみよう」。そんな思い付きで、高校時代からの古い仲間である松崎慧さんに、「もし、私が雑誌を作るとしたら原稿書いてくれる?」とお誘いの電話を掛けた。もし、一笑に付されたなら、個人誌で乗り切ろうと覚悟をしていたところ、「近年にない嬉しい便りだ。何人か仲間を募って是非発足させて欲しい。お手伝いしましょう」との励ましをいただいた。

 松崎さんの賛同を得て勢い付き、心当たりの作家仲間に当たり、八名の同志を得た。一応、私が書いて欲しいと願い、書けると睨んだ人たちである。第一回会合を持ったのが一月二十日。趣旨説明に全員が快く会員として名を連ねて下さることになった。条件は、「必ず作品を書くこと」である。出来れば小説を。しかし、エッセイでも短歌や詩でもいいよとゆるやかな規約である。発刊は年二回。「創刊号・2007・春夏号」は五月に。半年後の十一月に「秋冬号」を出す予定である。

 時間が無かったにもかかわらず、四月二十日締め切り厳守という私の勝手な言い分をきちんと守って下さる方ばかりで、七編の作品が勢揃いした。大ベテランもいれば、初めて小説を書いたと言う人もいる。長さは五十枚程度ということであったが、なかなかの力作が揃い、編集者としては早々から嬉しい悲鳴を上げることとなった。

「飛行船」。私が幼い頃、我家の上を悠々と、堂々と、慌てず急がず、音も無く横切り、だんだん遠く小さくなって行く不可思議な乗物に、ずっと魅せられていたのが発端である。実態があるのかないのか。しかし、ぱんと膨らんだ機体は、夢を山積しているようで、希望を託するにはうってつけのように思う。八人の夢を乗せて、悠々と堂々と優雅に飛んで欲しい。声高に自己主張せずとも、しっかりと存在感のある雑誌に育って欲しい。

 さて、徳島在住の文学を志す若者(私より若いという意味)の出現をお待ちしています。賛同する方は、是非御一報下さい。                  竹内菊世