飛行船第15号 編集後記

 

 現役を退き、時間的にも経済的にも、いくばくかのゆとりができた人生の終盤を迎え、何か奉仕の精神でやれることはないかと考えた。長年文学に親しんできたことを活かして私にできることは何だろうか。作家を志す人、作品が書きたくて発表の場を求めている人、そう言う文学愛好家の役に立つことができれば、一つの役目が果たせるのではないかと「飛行船」の創刊を思いついた。思い立ったが吉日とばかり、すぐ、同好の諸氏に働きかけて実行に移した。とにかく、古稀を過ぎてのことだから、早くしないことには時間がない。「まあ、何とだいそれたことを」「どうせ3号誌だろう」「年寄りの気まぐれだ」などの声があからさまに聞こえて来る中、私自身も、まずは5号を目指してと、出発した。年二回の発刊、「春夏号」を五月二十日に、「秋冬号」を十一月二十日にと、自分に課し、会員にも協力をお願いした。そして今回無事、15号を発刊することができた。私も傘寿を迎えた。いつまでもつのか?との疑問符との戦いである。後を引き継いでくれる人が現れるのを心待ちしているのだが?

 一つの節目を持たそうと、5号ごとに募集した「飛行船文学賞」も、今回第3回を迎える運びとなった。今回は前記したように、初めて文学賞なるものを出す。それも、高校二年生という若い作品であることがまことに嬉しい。若者を歓迎する意味も含めて、やや甘くなった感がなきにしもあらずだが、将来に期待したいと思う。

 優秀な若者がどんどん都会を目指して巣立って行き、年寄りばかりが変に元気な田舎の中の田舎ではあるが、「どんな所であろうと人の営みがある」のは当然で、それぞれの環境の中で、それぞれにできることを精一杯やっていくしかないのだ。

 今号には、口はばったいかもしれないが、粒揃いの力作が揃った。年ニ作のノルマを、頑張って書いてくれる会員がいるから「飛行船」は成立っている。「もう、書けない」と言われたらどうしようもないのだ。本当にちゃんと書いてくれる会員に感謝、感謝である。しっかり書いていれば、きっと報われる時が来る、とは言えない。けれども、しっかりやっていく。そんなことをお互いに励まし合って、これからもやっていきたいと思う。

 そして、発行を待ってくれている読者の方にも、心からお礼を言いたい。
 地球上では、眉をひそめる事件が頻発している。平和に暮らせる国ばかりではない。我が国でも、高齢化に伴う生産能力の低下に加え、若年層の貧困問題など、憂慮すべき問題が山積している。「小説が書ける」幸せ、喜び、を感謝しなければならないと思う。

私が何とか続けていられるうちに、この「飛行船」を飛び出して、世界へ羽ばたいてくれる作家が出ないだろうか。そんな夢がかなえられる日が来ることを心待ちしながら、また、20号へと向かっていく次第である。 

平成二十六年五月

                              竹内菊世

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